働く人

インディー・ジョーンズになりたかった。考古学者じゃなくて、インディー・ジョーンズに。それが中学生の頃。
高校生になるとさすがにインディーは現実味が無いと言う事に気づき始めマスター・キートンになりたいと思い始めた。
そのまま受験もクリア。文系に進み、部活で体を鍛え、大学では考古学"も"やるよとの勧誘に半ば引っ掛けられて美術史を学び・・・。
でも結局だらけて脱落した。卒業したものの就職に失敗し、舞台照明いじったり、カモシカと戦ったり、福祉に携わったり、光ファイバー作り、胡散臭いソフトベンダーに潜り込み・・・歳の割には色んな職種をわたり、数学死ぬほど嫌いなのに今はSEモドキをやっている。

先輩と飲んだとき、「今何かやりたい仕事あるか?」って問いに俺は「執事になりたい。」と答えた。

経歴不明。渋く、目立たず、常に紳士的に。日々お嬢様の無理難題を「かしこまりました」と解決するも、おいたが過ぎるときは毅然と、だが優しくたしなめるのだ。全ては立派なレディになっていただく為なのだ。
屋敷ではメイド達に的確な指示を与る。日々の激務を滞りなく終えるとスーツを脱ぎレザーに身を包み、バイクに跨って街へ。なじみのライブハウスでイアン・ヒルばりにベースを鳴らす。そんな彼の姿を屋敷の人々はあまり知らない。

上記の文には一部(殆ど)、先輩には語ってはいない。どこ行けば執事になれるんすかねー?リクルートスタッフサービスかなー??とか語りながら酒を飲む。

我ながら頭の悪さは中学校の頃から変わっていないっつーか年取った分救いが無いと言うか・・・。

やっぱ家政婦紹介所だろうか?