デリケートなところを見せてみたり

また、いらない世界へのドアをくぐり抜けてしまったような。

ここんとこ"ふぐり"の辺りが痒い。すわインキンですか?俺も親父のように?とか変な病気とか(ありえない・・・ハズだ)が気になったので念のため病院へ行ってみた。少し勇気を出して。

受付で問診表に「コウ丸(字わからんかった)の辺りが痒い」と記入。部位欄には「股間」とはっきり書く。それを受付のおねいさんへ渡す。ここは受付がみんな若めな女性ばかり。済ました顔してるけど内心かなり恥ずかしかった。

皮膚科の先生は男だった。でも、自分が見てきた中で皮膚科とか、薬局の美容系を扱ってる男性は何故みんなこう、「物腰の柔らかい」人なのだろう?やっぱデリケートな部分を扱うことも多いから・・・なのか??

「いやー、実は今日この病院に来たばかりで何も良くわからなくて(笑)」とか言う先生にちょっとびっくり。
だが俺も「いえいえ、僕もこう言うとこ来るの初めてですから。お互い初めて同士ですね(笑)」とか言っちゃったり。
こんな初々しさなぞ、いらない!
勝手がわからない医者と患者同士、どうも診察がスムーズに行かない。
「えっと、じゃあ・・・見ましょうか?」いや、俺に聞かれても。「じゃ、脱ぎましょう・・・か?」ついつい俺も半疑問系で受け答え。しかし脱がないと診察が始まらないことは明白。妙な間と沈黙が漂う診察室の中、先生に示された衝立の脇でオズオズとズボンを脱ぎ始める俺。「ここからなら"たぶん"外から見えないし。看護婦さんもこっちは見ませんので・・・」。なるほど、僕らの脇を通り過ぎる若い看護婦さんは、そのときはそっぽを向いててくれた。でも結局脱ぎ終わって患部であるふぐリを晒して処置台に座る俺の姿を・・・正確には患部(ふぐり)を見てますよ。やっぱり見られるじゃない。まぁ当然だよね仕事だもんね。
「では。・・・これはどうやらカビではないようだな」
カビと言うのは俗に言うインキン等の原因となる水虫菌とかと同じ種類のものらしい。それに感染すると皮膚がフケのようにぼろぼろになったりするので、その組織を取って顕微鏡で見て確定となるらしい。でも、俺のふぐりは少し赤くなっているだけで皮膚組織がぼろぼろにはなっていない。しかも、周囲の腿にも飛び火はしていない。「毛の部分とかは大丈夫ですか?」と問われる。それは毛ジラミを疑ってのことだと思われる。が、やはりそこにかゆみは無いのだ。
迷った挙句先生は「どうします?皮膚採取できなさそうだけど検査します?」と聞いてきた。ここまでやっておいておいそれと帰るのは勿体ない。俺は「せっかくだからとりあえず検査してみてください」とお願いした。
本来はぼろぼろの組織を採取するから簡単に行くのであろうがこのケースではそうはいかない。どうするのかなー?とか思っていると「ガリっ」っと言う衝撃が。先生が「じゃ」と言うが早いか、手に持ったピンセットでおもむろに俺のふぐりを引っ掻いたのである。声こそ出さなかったもののなんつーか、かゆ・・・痛ぇ!思わず体がビクンと震えてしまった。

お昼どきの静かな診察室。処置台に腰掛けふぐりのみをさらけ出した俺。ピンセットでふぐりをカリカリ引っかく医者。痛痒いのを声を殺して我慢する俺。それをじっと見ている看護婦。
日常の空間にて突然現れ、そして静かに展開する異様な光景。もう、俺はどうすればいいのやら。

・・・結局、組織は採取でき無かった。カビではないという判断の元、かゆみ止めを処方され2週間程様子を見ろとのこと。にこやかに話す先生の後ろで組織採取に使われ、俺のふぐりに押し当てられたプレパラートをつまんで捨ててる看護婦さんの姿が印象的でした。

今日の診察は受付から会計が終わるまでって羞恥プレイと言っても差し支えの無い内容だ。
治療もできて、なおかつそっちの方面も満足できるとなれば病院はきっとその手の人にはユートピアなのではないだろうか?なんて考えながら帰途についた。
ああ、後ろに続き、前までも。またなんだか少し自分が汚れちゃった気がした昼下がり。
ちなみに、かゆみ止めは効果ばっちりだった。ナイス診察(?)