やっぱ、タバコは美味くない

おねいさんのいる飲み屋さんで、隣に座ったおねーさんがとても美味しそうにタバコを吸っている。流行の軽いタバコ。メンソール臭付き。
だもんで、何となく、一本貰った。

タバコ吸うなんて、何年ぶりだろう?かつて吸ってみて「マズっ!」と思って以来吸っていない。・・・いや、一度だけ、某ゴロピカリが外国土産で買ってきた葉タバコを「怪しいはっぱ」だと言われて吸ってみたことがある。・・・我ながら当時の自分の「タバコはダメだが葉っぱなら良い」と言う基準はどうかと思う・・・。まぁ、アレは更にまずかった。焚き火の煙の臭いがしたし。

で、軽いタバコだが・・・。わぁ、ホント軽い。
「ズイ〜っと肺まで吸い込んで、プハ〜と吐き出す」それがタバコの吸い方。俺の周りのタバコ吸い、主にじいさんどもは、そうやって、笑いながら、時には渋い顔で、タバコを吸っていた。
そんなことしてたら、すぐにタバコが短くなった。もう一本もらってみる。コレもすぐに無くなった。
味は煙付きの禁煙パイポみたいなもんだと思った。もちろん、美味しくなんてない。俺には金を出してまで買う意味は無いと思えた。

そんな話しを、久々に飲んだ先輩とした。そしてトイレに立った先輩のタバコを見て、ふと思った。確か、これってうちのじい様が吸ってたのと同じ、強い奴。ピースってのだ。

トイレから帰って来た先輩に「一本、貰ってもいいですか?。」俺が全くタバコを吸わないことを知ってる先輩は少し驚いた様子だったが、快くタバコとライターを俺に渡してくれた。
どれ、火を点けて、思いっきり肺に・・・。
ちょっと、むせた。コリャきつい。でも、少しずつ吸って、味わってから吐けば吸えないってことはない。

おねいさんが吸ってたタバコなんかより、臭い。タバコ臭い。いかにもって感じの苦い煙。でも、なんか、懐かしい。この臭いは嫌いじゃない。
近くにあった爪楊枝を使い、最後まで吸いきる。せっかくだからシケモク気分も味わっておこうと思ったのだ。

「もう、充分です。堪能しました。・・・やっぱ不味いです。」ちょいと苦笑い。
嫌いじゃないが、やっぱり自分で吸おうって気持ちにはなれない。たぶん、コレは俺に縁がある臭いではないのだなーと思い、ゴクリと多めにウィスキーを飲んで味と臭いを消した。
でも、こっちの方はどうやら少しは縁があるみたいだ。
おかわりを作って空になったボトルを見て、思った。