さよならSENTENCED。今年は初盆だな。

ライナーでB!の前田さんも書いてたけど「ついにこの時が来てしまった」だ。SENTECEDのラストアルバム。出す前から最終作だと言われていた問題のアルバム。もう彼らの新しい音を聴くことができないなんて。デスメタルのフィールドから飛び出して、キレと重さある演奏に美しいメロディを乗せ、激情にくるまった絶望と哀しみを歌いつづける。この個性的な音・・・似たような音を俺が知らないだけだけど・・・こんな音がもう、聴けないなんて。


でも、実に彼ららしい終わり方だとは思う。
聞き手に絶望と哀しみをこれでもかと刻み込んでおいて「わりぃな。これでお別れだ。」と去って行く。残されるのは冷たい北の風景の中に残されたファンだけ。
正直悔しいし、切ないぜ。何があったか知らないけど、これでさよならなんてあんたらヒドイよ(涙)もう未練たらたらですよ。ええ。・・・でも、大人しく受け入れる。それが現実ならせめて潔く対峙しようと思う。この「哀しい現実との対峙」も彼らが描いてきたものの一部だ。しかし、それをファンに実践させるかよ(苦笑)


こんなエアコンが無いと辛いクソ暑い夏の日に聴いても、彼らの音を聴いていると北の大地が目に浮ぶよう。音が冷たいんだ。
1曲目はうねる歪みベースが実にかっこ良い今までに無いロッキンな曲。こんな新しいものを最後に見せるとはキサマら。
6曲目DESPAIR-RIDDEN-HEARTS。ソロへと続く高まりかたが唐突かつ半端じゃあない。低いギアで引っ張って一気に飛び出すような感覚に背中がゾクゾクした。あとは一気に走り抜ける。・・・こんな曲の作り方もありなんだ!目から鱗と一緒に涙が落ちちゃった。
13曲目のEND OF THE ROADなんてタイトルまんまじゃないか。切ないソロの余韻を残して音が消えていく。コレで、最後なんすね・・・。
そしてボーナストラック2曲の内の片割れ、NEPENTEHE(Live)。懐かしい。俺をデスメタルの世界に引きずりこんだのはまさにこの曲なんだよ。


Victorのメロデスコンピレーションの1曲目に入ってたNEPENTEHE。90年代、メタルの低迷の中新しい音を探してた俺が「デスって怖いけど、"メロディック"って書いてあるしオムニバスで安いから」って理由で買ったCD。衝撃の連続だったメロデスとの出会い。コレに入ってたバンドのCDを買い始めることから始まったデスメタルへの道。まぁ、おかげで攻撃的な方に傾きすぎて途中のメランコリック路線なアルバム「FROZEN」あたりで一旦SENTENCEDから離れてしまった。でも「COLD WHITE LIGHT」でこのバンドの良さに気付いて再燃した。

俺はメロデスに出会うまでは正統派〜様式美、たまにジャーマン系と言われるメタル以外の音には一切耳を向けなかった。「メタル以外は聴く価値なんて無い」と。そこで「なんだ、デスってのも結構聴けるじゃん」と、俺の音の壁に小さな穴を空けたNEPENTEHE達。これを切っ掛けに、後の真性デスメタル→ヘヴィロック→ポップスやら雑多な音楽と恐る恐ると手を出し始め、「ジャンルを気にせず音を楽しむ」方向へと進んだと思ってる。あの当時憎しみさえ感じていたモーニング娘。を笑って聴けるようになったのは実は一枚のメロデスコンピレーションアルバムのおかげなんだ(笑)


NEPENTEHEを聴いていると、懐かしい先輩に会えたような気分になる。コレを、ボーナスにするかよ。お前ら。生前の故人を振り返ってるようじゃないですか!でも、ボーナストラックは少し無音部分を入れてから流した方が効果的だったと思う。


こんな風に俺のメタル人生に少なからぬ影響を与えたバンドが消えてしまう。彼らの熱くて冷たい音は俺を癒し、背中を押してくれた。たぶんこれからも。
でも、まぁ。
SENTENCEDさようなら。そしてありがとうございました。